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HAE(遺伝性血管性浮腫)

HAEを知る

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更新:2024/09/24 (火)

遺伝性血管性浮腫(HAE)とは

遺伝性血管性浮腫(Hereditary angioedema:HAE)は、C1インヒビター(C1-INH)の量的または質的欠損がもたらす希少な遺伝性疾患です。HAE患者の約75%が常染色体優性遺伝形式をとり、残りの約25%が新生変異(de novo)による孤発例で、家族歴がみられないこともあります。また、近年では、遺伝子変異がないにもかかわらず血管浮腫を示すHAEの存在も明らかになっています。HAEは5万人に1人の頻度で発症すると報告されており、本邦では厚生労働省指定難病に指定されています1)
C1-INHは、補体系、凝固系、線溶系、カリクレイン・キニン系(KKS)に関与するいくつかのセリンプロテアーゼを阻害し、これらの系の活性化を制御しています。C1-INH欠損という浮腫発症準備状態に、情緒的・身体的ストレスなどの種々の要因が加わることでKKSカスケードの下流に生じるブラジキニンや、アナフィラトキシン(C2b、C3a、C5a)などが過剰に産生され、突発性に生じる限局性の浮腫が、身体各所(皮膚、腹部、喉頭部など)において出現と消退を繰り返します2,3)


1)難病情報
センター ホームページ:https://www.nanbyou.or.jp
2)Nussberger J, et al. : Lancet. 1998; 351(9117): 1693-1697
3)Han ED, et al. : J Clin Invest. 2002; 109(8): 1057-1063
4)Agostoni A, et al. : J Allergy Clin Immunol. 2004; 114(3 Suppl): S51-131
5)Gompels MM, et al. : Clin Exp Immunol. 2005; 139(3): 379-394

HAE発作の症状

HAE発作は、顔面、喉咽頭部、皮膚、消化管といったあらゆる部位で起こります。

6)Bork K, et al.:Am J Med. 2006;119(3):267-274
7)Bork K, et al.:Arch Intern Med. 2003;163(10):1229-1235
8)Bork K, et al.:J Allergy Clin Immunol. 2012;130(3):692-697
9)US Hereditary Angioedema Association
10)Agostoni A, et al.:J Allergy Clin Immunol. 2004;114(3 Suppl):S51-131
11)Bork K, et al.:Am J Gasteroenterol 2006;101(3):619-627

HAEの長期予防治療12)

WAO/EAACI HAE管理ガイドライン2021では、HAEの治療目標として、長期予防治療を用いた疾患の完全なコントロールと患者の生活の正常化が推奨されています。

WAO:World Allergy Organization
EAACI:European Academy of Allergy and Clinical Immunology

推奨 13治療目標として、完全な疾患コントロールを達成し、患者の生活を正常化することを推奨する
合意率 100%、エビデンスレベル D
推奨 14診察では毎回、患者の長期予防を評価し、疾患活動性、負荷、コントロールに加え、患者の要望を考慮することを推奨する
合意率 96%、エビデンスレベル D

本ガイドラインでは、ランダム化比較臨床試験の結果に基づき、HAE-1/2型患者の長期予防治療の第一選択薬として、血漿由来C1インヒビター(C1-INH)、ラナデルマブ、ベロトラルスタットのいずれかを推奨します。
第一選択の長期予防薬が3種類とも使用可能な場合、どの薬を選択するかは、共同意思決定で決めるべきです。

推奨 15血漿由来C1インヒビターを第一選択薬として長期予防に使用することを推奨する
合意率 87%、エビデンスレベル A
推奨 16ラナデルマブを第一選択薬として長期予防に使用することを推奨する
合意率 89%(強い推奨)、エビデンスレベル A
推奨 17ベロトラルスタットを第一選択薬として長期予防に使用することを推奨する
合意率 81%、エビデンスレベル A

【要約】
遺伝性血管性浮腫(HAE)は希少疾患かつ身体障害性疾患であり、早期診断と効果的な治療が不可欠である。HAEの診断及び管理に関するWAO/EAACIガイドラインの最新版である本改訂版では、HAE管理の最新ガイダンスを示す。今回の最新改訂版では、国際専門家委員会が既存のエビデンスを見直し、28の推奨事項を策定し、オンラインによるデルファイ法を用いて合意を形成した。これらの推奨事項及びガイドラインの目的は、一般的かつ重要な臨床課題にガイダンスを示すことで、C1インヒビター欠損HAE(1型)及びC1インヒビター機能障害HAE(2型)の管理において、医師と患者の合理的な意思決定を支援することである。具体的には、(1)HAEをどのように診断するべきか?(2)オンデマンド治療に予防治療をいつ上乗せするべきか、どのような治療薬を用いるべきか?(3)治療目標は?(4)小児や妊婦/授乳婦など特定の患者集団でHAE管理は異なるか?(5)HAE患者の疾患活動性、影響、管理状況をどのようにモニタリングするべきか? さらに、HAE管理の国際基準を確立し、あらゆる患者に推奨される診断と治療が実施されるよう奨励することも本ガイドラインの目的である。

エビデンスレベル
A:質の高いランダム化二重盲検臨床試験(例:症例数の算出、患者組み入れのフローチャート、intention-to-treat(ITT)解析、十分な症例数)
B:質の低いランダム化臨床試験(例:単盲検のみ、症例数が少ない:各群15例以上)
C:方法論的に重大な限界がある比較対照試験(例:非盲検、症例数が非常に少ない、非ランダム化)、又は大規模後ろ向き観察研究、大規模非盲検試験、レジストリデータ
D:既存のコンセンサス文書の引用、又はコンセンサス会議で投票した専門家の見解に基づいた声明、エビデンスA~C以外

12)Maurer M, et al.:Allergy. 2022;77(7):1961-1990

JPN-BRN-0875

更新:2024/09/24 (火)
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