症状を1回認めたあと自然寛解するタイプもある一方、慢性に進行するタイプ、再発と寛解を繰り返すタイプがあります。重症例では手足に障害が残ったり、車いすによる生活が必要になったりする場合があります。このような障害を残さないために維持療法が実施されます。
概念図:再発後の治療導入と寛解維持療法の違い
単回の治療が奏功しても寛解維持が困難で再発を繰り返す、もしくは緩徐進行性の経過を示す例が存在する。
これらに再発時治療のタイミングを逸すと脱髄のみならず不可逆性の軸索変性へ進展しうる。
そうした病勢の進行抑制を図るため、再発に関係なく間欠的に治療を繰り返すのが寛解維持療法の主眼である。
飯島正博:Peripheral Nerve. 2018;29(1):2-8
治療効果の予測については、「慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー、多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2013」5)において以下の因子が挙げられています。
Ⅰ. 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー
Clinical Question 7-21:治療効果の予測には何が有用か
①典型的CIDP(EFNS/PNS 診断基準)であること。②急性・亜急性または再発寛解性の経過、羅病期間が短いこと。③若年であること。④女性であること。が治療反応良好であることを予測できる因子である。軸索障害を示唆する電気生理学的所見は治療効果不良と関連する。
「慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン作成委員会編集:慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン 2013(日本神経学会監修), p.113, 2013, 南江堂」より許諾を得て転載
文献
5)慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン作成委員会編集:慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン 2013(日本神経学会監修), 2013, 南江堂